■初めての溶接


 

はじめての溶接に挑戦です。

家庭用アーク溶接機を購入しました。きっかけはパソコンデスクの椅子のキャスターが壊れてしまった為です。

接着剤でしのいでいましたが、軸が偏心している関係で、強度不足なので使っているうちにすぐに外れてしまいます。で、結局2個目のキャスターが外れてお手上げ状態。

壊れたのは直径50ミリのキャスター。心棒は6ミリの丸棒でネジが切ってなく、内部で溶接する仕様になっています。 それなら取り替えればよいだろうと、ホームセンターで新品を探したところ、50ミリのキャスターは軸ばM8ボルト。つまり直径8ミリなのでこの穴には入りません。

これで捨ててしまうのはあまりにもったいない!
ということで溶接機を購入して溶接にチャレンジすることにしました。

 

■ホームアーク ナビプラス

家庭用アーク溶接機
スター電器製造(株) SUZUKID
ホームアーク ナビプラス SKH-40NP
http://www.suzukid.co.jp/pdf/homearcnavi.pdf

家庭用100V電源使用。
1.4φ/1.6φを使用して板厚1.2mm〜3.0mmの鉄板が溶接できます。

この商品は定格使用率が20%ですので10分の内、2分間通電すると8分間休止する必要があります。

付属品は本体と溶接面、そして溶接棒3本

電源コードを延長すると、負荷時に電圧降下する可能性があるとのことで、延長コードは使わないことに。

※電源コードは結構短いので屋外コンセントに近くで作業することになります。

溶接する部分の塗装をグラインダーで削り落とします。

キャスターのナット部分もグラインダーで削り、瞬間接着剤で仮固定。

溶接面とホルダーで両手がふさがりますし、溶接部分は数百度になりますので手で支えることはできません。
(クランプを使用する場合も金属製を使用する必要があります)

アースを装着。

定格2次電圧
無負荷時36V、負荷時22V
定格電流40A

ものすごい電流が流れます。

ホルダーに溶接棒を装着します。

溶接棒はちょうどチョコポッキーのような構造になっています。ポッキーの部分が心線で、チョコに相当する部分が「フラックス」です。「フラックス」はアークを安定させると共に、ガスを発生して空気の侵入を防止する大事な役割を持っています。

アーク溶接では強烈な光(紫外線)が発生しますので決して直視してはいけません。(Wikipediaによれば皮膚も長時間アーク光に暴露すると炎症を起こすそうです)

溶接面は溶接を始める前からあてておきます。はっきり言って真っ暗です。

溶接面越しに手先を確認する必要があるのですが、暗いところでやると手先が全く見えません。「明るいところ」で手先を見え易くすることが第一歩です。

いざ溶接。溶接棒をあてると、バチッと火花が飛びます。

※かなりの火花が飛び散ります。火花は金属が溶けたものが飛び散っているに等しい危険性です。周りに燃え易いものを置かない事。それから服装は皮手袋とエプロンが必須です。

溶接できたように見えていますが、溶け込みが無く、すぐに外れてしましました。 やはり、いきなりうまくは行く筈がありません。

このあと、同じようなことを何度も繰り返しました。

■練習

付属の溶接棒3本では足らなくなったので、ホームセンターで溶接棒を買い足しました。

軟鉄用、薄板用 1.6φx200gで¥500程でした。

鉄板で練習です。

最初に溶接棒を対象物にあててアークを飛ばします。

上の写真のように直角に当てると溶接棒が対象物に溶け込んでくっついてしまうことが多く、くっついてしまうと溶接棒を引っ張って外すしかありません(電流が流れっぱなしで溶接棒が真っ赤になって結構あせります)

コツとしては、 下の写真のように溶接棒を寝かせてアークを飛ばすことです。そして溶接棒を落として少し跳ね返らせるくらいの感覚で操作すると「ジリジリ」とアークが連続しますのでそこで溶接棒を溶接方向にゆっくりと動かしてやります。

最初にアークを飛ばした瞬間の写真です。

※アークを飛ばしていると、溶接棒の先に「スラグ」が付着してしアークが飛ばなくなってしまう事があります。この場合はペンチなので先の「スラグ」をむしりとってやるとアークが飛ぶようになります。

「ジリジリ」とアークを連続させながら溶接棒を溶接方向に動かしているところ。「溶接ビード」が真っ赤になっています。

また、溶接中にスパッタとなる金属小粒が飛び散っているのがわかります。

※今回使用したのは1.6ミリの鉄板ですが、溶接棒のスピードが遅すぎると穴があいてしまうことがわかりました。板厚によって電流を変えるのが本来のようですが、ホームアーク ナビプラスにはその機能がありません。

溶接が終わった瞬間は、まだ「溶接ビード」が真っ赤になったままです。

つまり、被溶接物は数百度になっていますのでさわると火傷します。暫く時間をおいて、冷めるのを待ってから手に取ります。

 

イモムシのような「溶接ビード」ができあがりました。この時点では「フラックス」成分が溶けて固まった「スラグ」が溶接部の回りに付着しています。「スラグ」を除去して残った部分が溶接部分となります。(下の写真)

また、溶接ビードの周りには溶接棒のフラックスからガスが発生した跡も残っています。(茶色い部分)

「溶接ビード」のまわりにプツプツと付着しているのが「スパッタ」。金属小粒が飛び散って付着したものです。

「スラグ」や「スパッタ」はペンチやグラインダーで取り除きます。ガスの跡はワイヤーブラシで取り除きます。

最後に溶接手法の解説

左が材料を直角に溶接する隅肉溶接。
右が読んで字のごとく突合せ溶接。 突合せ溶接の場合は開先加工をして溶け込み易くします。

■アーク溶接の動画

左の画像もしくはこちらをクリックしてください。

wmv 11" 0.44MB

ボリュームは絞ってご覧ください。

■再チャレンジ

溶接らしくなりました。でも盛り上がっている部分は「スラグ」ですので、「スラグ」を落としてみないと中がどうなっているかわかりません。

それから、高温によりキャスターの軸受けに封入されているオイルが沸いて流れ出したので焦げたオイルで真っ黒になりました。

グラインダーで「スラグ」を落としてみるとやはり「巣」ができていました。

でも一応溶け込んでくっついているようですのでこれで良しとします。

※高温でキャスターの樹脂も溶けており、これ以上は続けないことに・・

オイルをワイヤブラシと洗剤で洗い落としたあと、シルバーのペイントをして完成。

塗装することでかなり「ごまかし」がききました。

晴れて修理完了。これでまた暫く使えます。

めでたしめでたし。


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