■サイクロン集塵機


 

 以前より気になっていたのですが、なかなか手がつけられなかったサイクロン集塵機。市販の掃除機では、鋸くずがすぐに一杯になってしまう欠点がありますが、サイクロン集塵機は、目詰まりしにくくかつ、たっぷりと集塵してくれます。

 最近、家内から「掃除機の吸引力が弱まった」とのコールで掃除機を買い替えました。これで余った掃除機を粗大ゴミに出すとの話。そりゃもったいないでしょ。ということでお預けになっていたサイクロン集塵機の製作に取り掛かった次第です。

余談ですが、前回は紙パックの不要なサイクロン式の掃除機を購入したのですが、フィルターの手入れが大変、そして吸引力が落ちるとのことで、新調した掃除機は紙パック式に戻りました。これからはサイクロン式掃除機に世代交代かと思いきや、一長一短のようですね。

サイクロン集塵機の製作に関しては木工愛好家の皆さんが既にいろいろなノウハウを公開されていますので、素直に先人のノウハウを頂くことにしました。

■参考にさせて頂いたサイト
この場をかりてお礼申し上げます。

Mokkin 
思い立ったらDIY 
チルチンの部屋 

 

我が家でお払い箱になった「サイクロン式」掃除機。

サイクロン集塵機として第二の人生を送ることになりました。

これぞまさしく「進化」です。

■材料

サイクロン集塵機の材料は、特殊な材料が多のでプロ向けのショップや通販を活用したほうが入手が容易です。

ダクトホース 38ミリ(内径37.3、外径44.5ミリ)

管理人はホームセンターあちこち探しましたが、結局見つかりませんでした。

でもWEBで「ダクトホース」で検索すると小売店がヒットします。価格は店によりかなりばらつきがありますので吟味が必要です。

規格では、32ミリ・38ミリ・50ミリ・75ミリがあります。ビスケットジョイナーの集塵部の直径が38ミリだったので、38ミリを選択しました。

カフス

ダクトホースの端部に取り付けて接続を容易にします。

ダクトホースのスパイラル部分をねじ込めるようになっています。軟質塩ビ製です。(左が32ミリ用、右が38ミリ用です)

38ミリのカフスは30ミリのVP管(外径38ミリ)にぴったりはまります。

スパイラルワイヤーバンド

ダクトホース専用のワイヤーバンドです。購入しましたが、結局使いませんでした。

サイクロン集塵機ではお馴染みのΦ200-100の異径継ぎ手。

建材屋さんで取り寄せてもらいました。¥1800也

ペール缶

ガソリンスタンドでタダでもらえます。ガソリン減ってないのにスタンドに行ってガソリン10L入れて、スタンドの兄ちゃんに頼んでゲット。

キレイに掃除してあるやつをくれました。多分ゴミ箱にでも使っていたのでしょう。

VP管30ミリ(外径は38ミリ)いわゆる水道管です。

VP管は肉厚が厚く圧力がかかる上水道用。VU管は肉厚が薄く圧力がかからない下水用です。

30ミリのVP管は外径は38ミリなので38ミリダクトホースのカフスとぴったりです。2m購入しましたが使ったのは数十センチ。

■サイクロン本体の加工

まず、異径継ぎ手の先端(直径100ミリの部分)が長すぎるのでカットしました。
インレット(吸入口)の穴あけ。紙で型をつくってケガキ。

楕円の穴あけ。鉄板の厚みは0.6ミリありますので大変そうでしたが、ハンドニブラーで難なく加工できました。(チルチンさんのアイデアに感謝!)

この加工はハンドニブラがないと不可能ではないかと思いました。

穴あけ完了。卵型になにります。

インレット管は30ミリのVPパイプを使用。外径が38ミリありますのでこのまま、38ミリのダクトホースに接続します。

VPパイプは4ミリビス2本で固定しました。管の内側のビスの出張りを少なくする為、内側をビス頭にしています。

穴とパイプの、隙間にシリコン系接着剤を充填して本固定しました。(シリコンコーキングが手元になかったので・・)

ビスの脚が外側に出張ると危険なのでビスの長さをカット。余談ですが、ビスのカットは、圧着ペンチについているビスカッターを使用します。

サイクロン本体を下蓋に固定する為のL型アングルを取付。

L型アングルをサイクロン本体に固定する為のビス頭を外側にするか内側にするか悩んだあげく、美観優先でビス頭を外側ににしました。

内側にビス脚とナットが飛び出しています。サイクロンに影響がでるのだか?

もともと、塗装するつもりはなかったのですが、屋外に置きっぱなしにすることを考えると、L型アングルやボルトの錆が心配なのでラッカー塗装しました。これが結構正解です。市販品のような外観になりました。

■上フタの加工

サイクロン本体の上蓋の加工を行います。12ミリの合板から円形にカットします。円形カットは、ストレートガイドを用いてトリマーで行いました。

外径200ミリ。外周5ミリ程度を2段堀にします。(はめ合わせの為)

簡易ホールソーでΦ38の穴あけ。¥480で買ったものですが、合板の穴あけ程度には使えました。
方針変更。掃除機のヘッドをカットしてそのままつけることに。

掃除機の接続口を四角形に再加工。

それからのぞき窓を2箇所設けました。これで上蓋の加工が終了。この後塗装しました。

■下蓋の加工

ペール缶の蓋となる下蓋の加工。上蓋同様に加工します。

外径はペール缶の直径にあわせて300ミリ。外周10ミリ程度をはめ合わせの為に2段堀り。サイクロン本体固定ボルト用の穴を3箇所にあけておきます。この時点で塗装しました。

■組立て

サイクロンの内筒には最初にカットした、異径継ぎ手のΦ100の部分を使用。

内筒を固定用する為にアングルを作成。接着で本固定するのでとりあえず固まればOK。0.6ミリのアルミ板から切り出しました。

内筒取付部の周囲の隙間にシリコン系接着剤を充填。

内筒の長さが不足していますので、手元にあった0.3ミリのPP板で延長しました。

掃除機の接続口を4ミリビスで取付。

のぞき窓には2ミリのアクリル板で蓋をしました。内部側に凹凸ができる結果になったので、サイクロンに影響がでるかも?

掃除機の接続口は90度回転します。

下蓋にサイクロン本体を接合。6ミリの寸切ボルトを適当な長さにカットして固定します。いい感じです。

下蓋の裏側。サイクロン本体接続部分の隙間にシリコン系接着剤を充填。

ボルト穴からの空気漏れが気になるが、とりあえず放っておくことに。

下蓋にスポンジを貼ってペール缶との気密を確保。固定方法はあとで考えることに。

■試運転

試運転です。吸引力が弱いと思ったら、上蓋の隙間ふさぎを忘れていました。とりあえずビニールテープで気密をとりました。

それでも思っていたより、吸引力が弱いようです。下蓋はまだを固定していないのでこの部分から漏気しているのか、はたまた圧力損失が大きいのか?(掃除機のホース1m、サイクロン集塵機につけたホース3m)

鋸くずを吸わせてみるとペール缶にうまく溜まっていました。

大きめのくずはきれいに分離しますが、細かいくずは永遠に回り続けています。これは先人の方々が経験されたのと同じです。

サイクロンの直径大きくすれば解決するとの報告もありますが、管理人としてはこれで十分。気にせずに使用することにします。

■ビスケットジョイナーに接続

ダクトホースの先端に38ミリのカフスを取り付けます。

ビスケットジョイナーのダストバッグアダプターにぴったりです。

ちなみに、管理人のビスケットジョイナーはアダプター部分で鋸くずが詰まることが多く、度々鋸くずを取り除く必要がありましたが、集塵機の接続により快適に作業できるようになりました。

■クロスカットソー

クロスカットソーのダストバッグ接続口に何とか接続できます。(若干きつめですがカフスが軟質樹脂製なのでなんとか接続できました)

でも、クロスカットソーの消費電力は1kw。

掃除機も1kwこれでは同時に使用できません。別系統から延長コードでテスト。

捕集率は50%くらい?鋸と集塵口が少し離れている関係で完全には捕集できないようです。それでも、舞い上がる量はかなり減りました。

■トリマー

せっかく集塵機を作ったので、トリマーにもということでいろいろ思案しましたが、名案浮かばず!

でも先人は工夫をされていました。雅之工房さんのアイデアを頂きました。

ペットボトルをトリマーベースの開口に合せて切り抜きます。VP管を差し込んで接着。ゴムバンドを取付(糸で縫い付けました)、黒いのはマジックテープ。

実際に使用すると、VP管に大きな力がかかり、マジックテープが外れてしまいました。対策として、ハトメを用いてビスに引っ掛けるようにしました。これで何とか使えるようになりました。

こちらも捕集率は50%くらいです。下方向に開放しているので下方向から飛び散ってしまいます。

■トリマーテーブル

トリマーテーブルのフェンスには、集塵機の接続を考えて、堰板を設けていました。

合板を利用して接続アダプターを作成しました。接続には30ミリのVPパイプを使用。

接続アダプターの裏側にはスポンジを貼り付け。

集塵機をつくるまでは、トリマービット周囲に切削くずが溜まってしまうことがありましたが、集塵機により快適に作業できるようになりました。

感覚的に90%以上が集塵できていると思います。

■手押しカンナ盤  更新2007.7.21

カンナ盤は大量のかんなくずが出て一面に鋸くずが積もる位です。なんとかならないものか・・

カフスでの接続がぴったりのVP30ミリで接続することに。

カンナの排出口が台形をしていますのでこれに合せてトーチでVP管をあぶった後、台形の穴に突っ込んで馴染ませます。

少し焦げましたが、うまく変形できました。

これで殆どが集塵できるようになりました。感覚的に95%以上が集塵できていると思います。

ちなみに、サイクロンのスイッチを切っていても電動かんなの排気力でかんなくずが送られていきました。(単にスイッチを入れ忘れていたのですが・・)

■仮止め部の仕上げ

仮止めだった上蓋をアルミテープで本固定しました。アルミテープは、劣化が少なく長持ちしますし、いざというとき剥がせるので今回のようなケースで重宝します。

ダクトホースをダイレクトに接続していましたが、カフスを取り付けました。これで、ダクトホースを取り外して片付けることができるようになりました。

下蓋部にはキャッチクリップ(スガツネSCC-60)を取付ました。

バネ付きなのでラフな取り付けでもきっちりと止め付けてくれます。蓋がしっかりと固定されるようになりました。

■フロアスイープ  更新2007.8.15

N♪Familyさんのアイデアをお借りしてフロアスイープを製作。

ここでも30ミリのVP管が大活躍。ありあわせの材料で・・

組立てるとこんな感じ。

電動丸鋸など、集塵できない工具でカットしたあとの鋸くずをチリトリ無しで掃除できます。

※フロアスイープの角の面取りはもう少し大きくしたほうが良さそうです。

■完成
■掃除機BOX  更新2008.05.06

管理人の工房?は裏庭なので作業の都度工具を出したり、片付けたり。

サイクロン集塵機はいつも使うので、出しっぱなしにできないものかと考え、収納BOX(というか、出しっぱなし用BOX)をつくることに。

管理人の工房?は埃っぽいので盗難防止というよりは、埃防止の為です。

最初は小さな換気口をあけて密閉式にしていましたが、熱がこもることが判明したので、蓋が取り外せるようにしました。使用するときは蓋を外してスイッチオン。

内側に貼っている合板は、密閉式構造の名残です。外すのが面倒だっただけです。

ホースの取出し口は60ミリの明けをしてスポンジを詰めました。

箱に入れることで、騒音も幾分ましになって一石二鳥です。